学校の部活について

佳ノ子

ー学校の授業以外で、ハンドメイド作品をつくるなど「クリエイター」として活躍されている佳ノ子さんですが、学校の部活にも入っているんですか?

佳ノ子さん:はい! 茶道部と漫画研究部に入っています。

ー茶道と漫画……それぞれどんなことをする部活なんですか?

佳ノ子さん:茶道部は毎週、外部から茶道の先生をお呼びしてお茶のお作法を学んでます。今年の夏休みは、その先生のご自宅に伺って、二泊三日の合宿もしたんですよ。

ーなかなか本格的ですね!

そうですね。合宿に行ったときは※盆略点前や棚点前の稽古を集中的に練習したりとか、普段はできない着付けのお稽古とかもやりました。その成果を文化祭で披露するんです。

※盆略点前 棚点前……茶道の点前(てまえ)のこと

漫画研究部は普段あまり活動してないんですけど、長期休みの間にオリジナルの漫画を描いて『部誌』を作ります。文化祭のときにはその部誌とか缶バッチの販売、あとはイラストボードの展示などを行います。

ーそうなんですね。ものづくりが好きな佳ノ子さんなら手芸部とかを選びそうですが……そういった部活は考えなかったんですか?

佳ノ子さん:考えなかったです。ハンドメイドに関しては部活に入らなくても、自分一人でできるかなって思ったのが一番の理由ですかね。部活では、個人では出来ないことをやりたいなと思ったので。

 

アルバイトについて

佳ノ子

ー学業に部活に、加えてハンドメイド作品の制作に、と大忙しの佳ノ子さんですが、アルバイトの経験はあるんですか?

佳ノ子さん:ありますよ! レジ打ちや品出しとかを前はやってました。

ーレジ打ちや品出しの「アルバイト」と「ハンドメイド作家」、どちらもお金を貰うという点では 同じ『仕事』だと思うんですが、そこに意識の違いとかってありますか?

佳ノ子さん:具体的に言うと、アルバイトは常にお客様第一で行動しますが、ハンドメイドは逆に『自分が第一』なので、そこが違うかなと思います。

ーほぉ、作家としては『お客様第一』ではないんですね!

佳ノ子さん:一般の企業が求めるのは「利益」ですよね。そして大事なのはその利益を生んでくれる「お客様」です。そのためお客様はどうしたら喜んでくれるか、どうしたらまた来てくれるか考えて動くんだと思います。実際バイト先の先輩には常にお客様のことを考えろ、と教わりました。

ーハンドメイド作家は、利益以外の何かを求めている、ということでしょうか?

佳ノ子さん:そうですね。ただ、これからするお話は、あくまで私個人の考えだということを前提に聞いてください。

 

佳ノ子さんが思う「ハンドメイド作家の求めるモノ」

佳ノ子
佳ノ子さん:ハンドメイドの世界にももちろん購入者はいるんですが、極論お客様は存在しないと考えてます。工場のラインで大量に製造されるものと違い、ハンドメイドは作家がその一つ一つに時間をかけて自分 の個性を主張していく世界です。なので、誰かに『私はこういうものが好きだからこうしろ』とか『こっちが金を払うんだから指示通りに作れ』と、口を挟まれてはいけないと思うんです。

ー「商品」と「作品」の違いなのでしょうか?

佳ノ子さん:そうですね。確かに需要に合わせることは利益を生む上で大切ですが、そればかりではきっと同じようなものしか出来ません。 だから作家は、他人の評価を気にしすぎずに、まずは自分が何を表現したいかを第一に考え、 作りたいものを作るべきだと考えています。これがアルバイトとの根本的な違いかなと思いますね。

決して、買ってくださる方を無視しているわけでないということはわかってほしいですね。これは、作家がありのままの気持ちで作ったモノを好きと思ってくれる方に対する感謝でもあるはずです。傲慢な考えだと受け取る人もいるかもしれませんが、人の気分を害す、モラルに反するなどの理由が無い限りは、作家の個性を守るために大切なことだと私は思ってます。

 

ハンドメイド作品を販売するようになったきっかけ

佳ノ子
ーハンドメイド作品を販売しようと思ったきっかけは何かあるんですか?

佳ノ子さん:元々ものづくりが好きで、自分で作った作品を友だちにプレゼントしたり、自分の部屋で飾ったりしていました。ただ、作品を作るためには材料が必要で、それにはけっこうお金がかかるんですよ。高校生の私には金銭的に難しい部分があって。

ーそうですよね〜。かわいい生地とか、アクセサリーを作るためのパーツとかって結構値段しますもんね。

そうなんです。そこで、作品を作るための資金を、作りすぎて持て余した作品を販売することで得られたら素敵だな、と思いショップを立ち上げたんです。

ーなるほど! 作品を作るためのお金を作品で得るというのは至極真っ当なルートですよね。
今までは自分の友だちや身内の中だけで終わっていたものが、人の手に渡るというのもまた違う喜びがあったんじゃないですか?

佳ノ子さん:ありました! どこかの知らない誰かが自分の作品を手にして喜んでもらえるというのは、作り手にとってこれ以上ない喜びなんです。次の作品づくりの準備をしながら、同時にそういった喜びが得られてとても有り難いことだなと感じています。

 

作家として心がけていること

佳ノ子
ー作品を作る上で気をつけていること、心かげていることはありますか?

佳ノ子さん:まず第一に『安全』を考えています。

ー安全……ですか??

佳ノ子さん:はい。やはり私の作品は身につけるものが多いので、簡単に壊れてしまうとお客さまのケガに繋がるので、危険じゃないですか。
なので、割れやすい素材はコーティングを念入りに行ったり、何かを繋ぎ合わせている場合はそのパーツとパーツが離れないようしっかりと金具の隙間をなくしたりなど、常に安全を意識して作ってます。

ーなるほど! 日常的に身につけるものを作品にしている佳ノ子さんならではの意識ですね。

佳ノ子さん:あと作品のテイストの話で言うと、モチーフにこだわりがあります。
日常の中で私の作品を思い出したり、私の作品を見て昔を思い出してもらいたいという気持ちがあるんです。なので、材料に「スプーン」や「ビー玉」、「メジャー」といった誰もが日常的に使用したり、子どもの頃に使ったことのあるものをモチーフとして積極的に用いるようにしてますね。

 

 

ハンドメイド作家としての苦労

佳ノ子

ー作品を作り、販売していく作業の中で大変なことってありますか?

佳ノ子さん:作品に値段をつける作業は大変ですね。一番苦労する部分かもしれないです。
いつも友だちに相談したりするんですが、それでもなかなか決まりません。もちろん自分の作品には誇りを持っていますが、「この作品が値段相応のものと感じていただけるかな……」と、郵送するギリギリまでいつも緊張してしまいます(笑)。

ーそんなに葛藤があるんですね!

佳ノ子さん:やっぱり今って、安くてかわいいものが溢れている時代だと思うんです。300円、下手すれば100円でかわいいアクセサリーが簡単に手に入るこのご時世に、この価格設定で正しいのか、と。
時間をかけて、自分一人で一つ一つ丁寧に作っていく……というハンドメイドの性質上、決して安いとは言えない値段で販売させていただいてるので、その分だけプレッシャーもかかりますね。

 

友だちや家族の反応

ーそういったクリエイター活動について、ご家族の反応はどんな感じですか?

佳ノ子さん:みんな温かく見守ってくれてますね。特に母は、ものづくりに対して理解のある人なのでハンドメイドのイベントに出展することも、アプリで作品を販売することも快諾してくれました。

ー理解のある親御さんですね! 素敵です。お友達の反応はいかがですか?

佳ノ子さん:友だちもみんな優しい子ばかりで、イベントで出展すればわざわざ会場まで足を運んでくれて、数点購入してくれたりします。この環境には本当に恵まれたと日々感謝してます。

 

学校以外の活動で得たもの

佳ノ子
ー高校生のうちに「ハンドメイド作家」という学外の活動をすることで、佳ノ子さんにとってどんな変化がありましたか?

佳ノ子さん:以前よりかなり打たれ強くなったかな、と思います。

ーその打たれ強さは具体的にどんな場面で培ったんですか?

佳ノ子さん:そうですねー……色々あるんですが、前にイベントで出展こそしたものの、寒空の中で数時間ずーっと待機しているばかりで、一つも商品が売れずただただ座っているということがありまして……。

ーそれはかなりツライ経験ですね……。

佳ノ子さん:はい。そういった経験をしていく中で、かなりメンタルが鍛えられましたね。

あとは、年上の方とのやり取りが必然的に多くなるので、そういったビジネス的なメールに対する慣れが、他の高校生よりは身に付いているかなという気はします。まだまだ勉強中ですけど……。

ーそれは必ず活かせるスキルですね!

 

これからのこと

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ー高校卒業後の進路についてはどう考えていますか? やはりクリエイターを目指されるんですか?

佳ノ子さん:あくまで今やっているようなハンドメイド作家の活動は、趣味という位置づけにしようと考えてますね。

ー趣味ですか! あんなにクオリティーが高いともったいない気もしますが……。
今後の目標などは何かありますか?

佳ノ子さん:今はまだ技術もお金も少なくやれることが限られてるんですけど、社会に出て安定した収入を得られるようになったらもっともっと活動の幅を広げたいと思っています。

ー活動の幅というと……?

佳ノ子さん:自分で何かを作るだけでなく、教室を開くとか。

ーあぁ、それすごくいいアイディアですね! 私も佳ノ子さんに教えてほしいです!!

佳ノ子さん:ぜひ(笑)。
あとは、もっとたくさん写真や映像を撮影したり、同じくクリエイター活動をしている友だちとグループ展を開いたり……目標を挙げたらキリがないほど、やりたいことはたくさんありますね。
その目標を達成させるために、当面は基礎固めのためにコツコツと知識を頭に、そして体に詰め込んでいこうと思います!

ーその若さで素晴らしい……!

 

夢がまだ見つからない高校生へ向けて

佳ノ子

ー「やりたいことが見つからない…」と悩んでいる同世代に、アドバイスをするとしたら何と声をかけますか?

佳ノ子さん:とにかく少しでも気になったものは『すべて挑戦することが大切』だと伝えたいですね。

最初から道具をすべて揃える必要はないので、絵が描きたいなと思ったらノートとシャーペンでいいし、写真が撮りたいなと思ったら まずはスマートフォンからでだって始められるじゃないですか。最初から気負わずに、気楽に挑戦するべきかなと思います。

ーまずはやってみることが大事、ということですよね?

佳ノ子さん:はい。挑戦した中で、自分に向いていないなと感じるものもあると思います。でも、必ずやっていて「楽しいな」「もっとやりたいな」と思うものが一つは出てくるはず。慣れないうちは上手くいかないこともたくさんあってツライかもしれませんが、最初からすべて上手く出来る人など存在しません! いま活躍している方々はそれ相応の時間や努力を積まれているはずなので、すぐに追いつけるわけがないと思います。
たとえ周りに馬鹿にされたとしても、自分のペースでゆっくり成長し『好き』を育てていけばいいと思います。いつか好きなものができればいいな、と受け身の姿勢ではなく、自分から見つけようとする能動的な姿勢が大切だと私は思います。

ー本日は、貴重なお話をありがとうございました!

 

インタビューを終えて

作品を作るとき、単純に「かわいいかどうか」だけでなく、身につける人にとってこの商品が安全かどうかまで考えられているのは、もうプロの仕事だなと感じました。高校生だからとか、本業じゃないからとか言い訳や妥協の一切ない姿勢に心を打たれました! 佳ノ子さんのような若いパワーと真面目さを持ったクリエイターがどんどん増えていったらいいなと思います。
今回のインタビューを読んで少しでも何か心が動いた人は、まず挑戦してみてはいかがでしょうか? その一歩があなたの未来を変えるかもしれません。

 

プロフィール

佳ノ子
現役女子高生クリエイター。東京に住む高校2年生の17才。

■過去実績
手作り市での出展(3回)
空創ワルツのライブ写真撮影(全3回)
書評合戦東京都大会ブックカバーデザイン採用
同大会公式ルールブック表紙に同デザイン採用
全国未成年飲酒防止ポスターコンクール 佳作
東京都未成年喫煙防止ポスターコンクール 優秀賞
あだワングランプリ 優秀賞

『NEKOZE-LYU’S GALLERY』
↑ 佳ノ子さんの作品はこちらで販売されています。