『SCHOOL OF LOCK』とは?

2005年10月に開校した、“ラジオの中の学校”。TOKYO FMから全国38局をネットして月曜日から日曜日まで、毎日放送中。“LOCK”の意味は、鍵(かぎ)であり、みんなと一緒に『“未来の鍵”を探したい』というコンセプトのもとラジオの中から“授業”をしている。
授業を担当するのは、とーやま校長・あしざわ教頭をはじめとする、豪華講師陣。番組HPには「お昼に通っている学校と違って、出席は自由。気が向いたときに、いつでも登校してください」というメッセージが添えられている。これまで多くの“生徒”たちに支持され、今年で放送開始10周年を迎えた。

 

登場人物の紹介

SCHOO OF LOCK!×椎木里佳
▲今回インタビューを担当する椎木里佳

SCHOO OF LOCK!×椎木里佳
▲番組プロデューサーの平岡さん

SCHOO OF LOCK!×椎木里佳
▲『SCHOOL OF LOCK!』のとーやま校長

SCHOO OF LOCK!×椎木里佳
▲何度直しても蝶ネクタイが曲がるあしざわ教頭

 

ラジオの中の「学校」は顔が見えないからこそ本当の自分が出せる「居場所」

SCHOO OF LOCK!×椎木里佳

椎木里佳(以下、椎木):校長や教頭がいて、リスナーを「生徒」と呼んで……そういった「学校」みたいな世界観は、どういった経緯で生まれたんですか?

平岡プロデューサー(以下、平岡P):中高生の時って、本当の自分を出せる場所ってなかなかないじゃないですか。学校は学校で、家庭は家庭でいろんなことがあって、素直になれない子も多いと思うんです。そういった子たちが、夜自分の部屋でこのラジオを聴いて「本当の自分はこうなんだ」という想いを発散できるような、『第二の学校』になれればいいなと思って作りました。

椎木:そういった「学校らしさ」を感じる具体的なエピソードとかってありますか?

平岡P:「学校に行きたくない」っていう悩みを持っている生徒(リスナー)が結構いたりして、彼らがメールや電話で悩みを送ってきてくれたりすると、校長や教頭たちとみんなで聞いて、一緒に悩んだりしてはいるんですけど、全部が全部そういった生徒ではなくて、毎日元気に学校行って部活もやって……っていう子も聴いてくれてたりする。ただ「SOL!」を好きで聴きに来ているっていう共通項があるだけで、みんなばらばらなんですよ。そんなところは、本物の学校と同じだなと思います。
ただ、リアルに同じ教室にいたとしたら、きっと違うグループにいたんだろうな〜っていう子たちなんかが、“ここ”ではフラットに、同じ目線で混在してるわけですよ。そういった部分では、ラジオという顔が見えないシチュエーションだからこそ築ける関係性というか、面と向かってないからこそ素直になれることもあるんだな、と実感しますね。

 

大切なのは「正しいことを言わない」ということ

SCHOO OF LOCK!×椎木里佳
椎木:多感な時期である彼らにとっての「居場所」をつくるために、何か特別に意識されてることはありますか?

平岡P:これは制作スタッフ、校長・教頭みんなが共通して大切にしていることだと思うんですが、「大人目線の正しいことを言わない」つまり、大人の意見を押し付けないということです。

椎木:「正しいことを教える」のが学校というような気もしますが……?

平岡P:普通はそうですよね。学校や家庭って「こうあるべきだ」っていう大人の目線で作られた正しさを子どもが学ぶ場所だったりすると思うんですけど、そういった環境の中で、自分の意見や思っていることを上手く出せないでいる子たちに向けて、「とりあえず思ってることをそのままさらけ出していいんだよ」っていう場所にしたかったんです。
そのためには、どんな意見もちゃんと最後まで聞くし、大人だからといって大人が考える正しそうなことを言ったりはしない。それは大切にしていますね。

 

校長は「起業家」、教頭は「社長の右腕」!?

SCHOO OF LOCK!×椎木里佳

椎木:校長と教頭はそういったスタンスの中で、どのように生徒の悩みに答えているんですか?

とーやま校長(以下、校長):まず僕は校長として、とにかく意見を言います。それが合ってようが間違ってようが関係なく、自分の考えをそのまま言葉にします。そこからみんなで話を進めていきながら、いい方向に向かっていれば、教頭が「みんな校長に続け!」って生徒たちを導く、みたいな。
逆に、あれ?やっぱ違ったなこれ。ってなった場合は「ごめん!ちょっとうちの校長間違ってたかもしれない。一旦ここで休もう!」みたいにして、僕ら大人が「これ」っていう正解を定めるとかではないです。

あしざわ教頭(以下、教頭):そうやって、「みんなで探しながら進んでいく」っていう感じですかね。校長は、自分の言葉があってるか間違ってるかとかは考えずに、とにかく悩んでいる生徒のことだけを考えて突き進む。そして、教頭の僕が周りの声や雰囲気を見ながら、それを応援したりストップをかけたり、それぞれの役割を持ちながら、進めていってますかね。

椎木:何かその関係性ってすごく「起業」と似てる気がします! 社長はとにかく自分の信念だったり、ビジョンを持ってガンガン進む。その想いを理解しながら補佐役が冷静にジャッジをする…みたいな。そこのバランスがいいことが、理想の会社づくりだったりするので、そこの部分はラジオを会社経営に例えると、通ずるものがあるなと思いました今。

校長:へぇ〜その話面白いですね。じゃあ僕も起業できるっていうことですよね? 社長の素質があるっていう……ありがとうございます!

SCHOO OF LOCK!×椎木里佳

椎木:そう…かもしれないですね。責任は持てませんけど(笑)。

 

現代に受け入れられるヒントはSNSとラジオの意外な共通点

SCHOO OF LOCK!×椎木里佳
椎木:SNSでのコミュニケーションがメインの高校生にここまで支持される理由は何なんでしょう?

平岡P:思春期、特に今の時代はそれが強いのかもしれないけれど、「ほかの人よりも目立つ」っていうことを恐れがちだったりすると思うんです。イベントやってみても、誰かが大声を出して徐々に「私も」「俺も」って全体のテンションが上がっていくような感じ。そういった世代であり、時代であるからこそ変に自分だけが目立ったりする心配もなく、直接顔を突き合わせなくても成立するコミュニケーションツールに居心地の良さを感じるんだと思います。
それってそのままSNSの特徴であり……

椎木:ラジオも同じ……?

平岡P:そう、全く同じなんですよ。ラジオって発言するかしないかも自由だし、聴き方も寝っ転がっていようが自由。もっと言うと全く聴いていなかろうが相手にはバレないじゃないですか。他人の反応を伺ったり、周りに気を遣ったりすることを億劫に感じる彼らにとっては、SNSと同じように受け入れやすいツールというか。
一見ラジオって今っぽくない印象があるかもしれないけど、そういう部分で現代の高校生とラジオはかなり相性がいいんじゃないかなと思いますね。

椎木:校長は、生徒とのコミュニケーションの中で、何か意識されていることとかってありますか?

校長:「SCHOOL OF LOCK!」ってラジオ番組なんですけど、ラジオ番組っぽくしないっていうことは決めてますかね。「第二の学校」なんて言葉もさっきありましたけれども、生徒とは友だちみたいな感覚で接していて。
例えば、友だちは「さて、続いての曲いきましょう!」みたいなこと言わないじゃないですか。もしそのノリを僕がやってしまうと、どんなに「先生と生徒」とか言っていても、いっきにそこで「パーソナリティーとリスナー」になっちゃうと思うんですよね。
だから「パーソナリティーっぽいこと」は絶対に言わない、やらないようにしてます。

椎木:たしかに以前イベントでご一緒したときも、本当の友だち同士かのように「ちょっと聞いてよ校長!」みたいに話しかけられているのが、すごい印象的でした! そんな距離感だからこそ素直な悩みも引き出せるんですね。

教頭:それはそれで、校長としての威厳がなさすぎる気もしますけどね(笑)。

 

「大人になったらわかるよ」という言葉は絶対に使わない

SCHOO OF LOCK!×椎木里佳

椎木:もし自分が学生時代に「SOL!」に相談するとしたら何を相談したいですか?

あしざわ教頭:やっぱり恋愛のこととかですかねー。高校生の男子なんて、何が何だかわからないじゃないですか。目が合っただけで好きなのかもって勘違いしたり、逆に好意を持たれていることに全く気づかなかったり…。だから「これってどうしたらいい?」ってことを色々相談したいはずなんだけど、そういうことって友だちにはなかなか言えなかったりするじゃないですか。
だから恋愛相談って、ラジオっていう場に合ってる悩みだったりするのかなと思いますね。

とーやま校長:僕は絶対相談なんてしないですね!(笑)「他人の意見なんて聞いてやるもんか!」という自意識の強い青年だったので。

椎木:私も完全にそういうタイプなので、気持ちがすごくわかるんですが(笑)。
そういった頑なな子だったり、逆に繊細でか弱い子だったり、幅広い生徒さんからの悩みを聞くことは難しくないですか?

校長:う〜ん、難しいとかはあまり思わないです。よく「毎回悩み相談にこたえてて大変だね」とか言われるんですけど、別に僕は答えを知っているわけじゃないので、彼らよりちょっとだけ多くの経験をしている先輩として、毎回一緒になって考えているだけなんですよ。
ただ、そういった“ちょっと先輩”っていう立場で絶対に言わないようにしているのが「時間が経てば解決するよ」とか「大人になったらわかるよ」っていうフレーズですね。これって大人になった今だから思えることであって、悩みのまっただ中にいる彼らにとっては、何の意味もない言葉なので。

教頭:それはたしかに絶対そうですね。

 

高校生に向けてメッセージ

SCHOO OF LOCK!×椎木里佳

椎木:高校生って進路選択が近づく中で、目標を見つけられずに焦ったり、不安になることがあると思うんですけど、そんな彼らに向けて何かメッセージをお願いします!

校長:まず大前提として、夢がないからって焦る必要はないと思うんですよ。「俺は日本一の◯◯になるぞ!」っていう夢があるのはもちろん素敵なことだけど、それがないからって不幸かっていうとそうではないと思います。死ぬときに「楽しい人生だったな」と思えるように生きられればいいと思います。

教頭:僕が伝えたいのは「やりたいことは隠さずに言ってみよう」ってことですかね。若いころの夢ってとんでもなく大きかったりするし、なんだか恥ずかしくて隠そうとする人が多いと思うんです。でも、言葉にすることで責任も生まれるし「達成するぞ」っていう気持ちに自分を持っていきやすくなるというか。
バカにされるかもしれないっていう状況で、夢を口にするのは勇気のいることだけれど、そのくらいの気持ちを持っていこうよっていうことでもあるかなと思います。「総理大臣になる!」くらい現実味がなくてもいいから、声に出していこうよっていうことです。

校長:いいこと言いながら、また蝶ネクタイが曲がってますけどね。

SCHOO OF LOCK!×椎木里佳

一同「あぁ〜あぁ〜」

 

取材を終えて

SCHOO OF LOCK!×椎木里佳

番組がはじまって10年という時が経ち、プロデューサーや校長たちも代が変わったりしてきた中で、高校生が聴く音楽やラジオとのなどたくさんの変化があったはず。それでも愛され続けてきた理由は、「ほどよい距離感」なのかなと感じました。
高校生の目線に寄り添いつつも媚びないスタンス、校長・教頭が生徒と話すときの「大人の意見を押し付けない」雰囲気……すべての距離感がほどよく、それが思春期の学生にとって、きっと心地がいいんですね。

 

SCHOOL OF LOCK!

“全国の蒼き若者たちの未来の鍵(LOCK)を握るもうひとつの学校!”をコンセプトに、パーソナリティのとーやま校長・あしざわ教頭ほか、人気アーティストをレギュラー講師陣に迎え、TOKYO FM をはじめとするJFN38局ネットで放送中のラジオ番組。2005年10月に放送を開始し、昨年10月で10周年を迎えた。

【放送日時】
毎週月曜日~木曜日22:00~23:55 / 毎週金曜日 22:00~22:55
(※女子クラス『GIRLS LOCKS!』の放送は月曜日~木曜日22:15頃~)

【放送局】
TOKYO FMをはじめとするJFN全国38局ネット

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(取材・編集/Concent